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中国国家賠償法のもとでいかなる者がいかなる主張をもって、国家賠償を請求しているのかを実際の事件の分析をし、賠償義務の成立要件の法理論的分析、さらに国家賠償請求手続の諸外国ではみられない極めて複雑なルートの整理、そして、実際の裁判例の分類と紹介がされいている。中国の複雑な法源、行政組織、そして裁判組織になじみのない日本の方々にも、理解して頂ける内容となっている。
第1章 序章
第1節 中国国家賠償の成立と改正
1 中国国家賠償法の成立前
2 中国国家賠償法の成立
3 中国国家賠償法の改正
第2節 中国国家賠償法の特徴
1 賠償請求方法の多様なルート
(一) 訴訟外型
(1)訴訟外手続で完結するタイプ
1 賠償義務機関が違法性を認め、賠償も認めるタイプ
2 審判による賠償請求タイプ
(2) 訴訟外手続で完結しないタイプ
3 賠償義務機関が違法性と賠償責任を認めるが、賠償項目を不服とするタイプ
4 賠償義務機関が違法性を認め、賠償を認めないタイプ
5 賠償義務機関が違法性を認めず、賠償も認めないタイプ
6 賠償義務機関が返答しないタイプ
(二) 訴訟型
7 分離式タイプ
8 併合式タイプ
2 賠償対象(範囲)の行為の類型化と具体化
3 違法性要件主義
4 違法性の確認前置
5 機関賠償主義
6 営造物の設置・管理の瑕疵の民事賠償
第3節 国家賠償にかかる法源
1 制定法
2 法に準ずる規範
3 裁判例
第2章 行政賠償
第1節 賠償責任成立に関する五要件説と違法性
1 五要件説の概要
(1)主体
(2)行為
(3)合法的権利・利益侵害
(4)損害
(5)因果関係
2 合法的権利・利益の侵害要件とその有用性
3 違法性
(一) 国賠責任の成立についての2段階判断
(二) 行政訴訟における違法性の確認
(三)行政賠償訴訟における違法性判断
第2節 国家賠償責任成立の各要件
1 主体(賠償義務機関)
(一) 国賠法で規定される主体(賠償義務機関)
(1) 行政賠償の主体
(2) 刑事賠償の主体
(3) その職員
(二) 事業主体の賠償義務機関への該当性
(1) 事業主体
(2) 法律・法規が授権する組織と事業主体
(三) 主体要件の柔軟化の必要
2 合法的権利・利益侵害
(一) 合法的権利・利益侵害要件をめぐる諸問題
(1)合法的な権利・利益
(2)違法な権利・利益と合法的権利・利益の併存
(二) 合法的権利・利益侵害と公共利益
(1)行政訴訟と公共利益
(2)行政賠償訴訟と公共利益
(三) 違法性未定と違法性確定
(1)違法性未定の場合の行政賠償訴訟
(2)違法性確定の場合の行政賠償訴訟
(三)行政賠償訴訟における違法性判断と公共利
(1) 公共利益が関わる違法性未定の場合の違法性の判断
(2) 公共利益が関わる違法性確定の場合の違法性の判断
3 行為
(一) 職務行為について
(二) 違法行為の具体的類型化
(1)違法な人身の自由に対する強制措置
(2)暴力行為
(3)違法な武器の使用
(4)違法な財産に対する処罰又は強制措置
(5)違法な収用・使用
(三) 免責事由
(1)私的行為
(2)被害者の自己行為は
(3)他の法律の定める免責事由に該当する場合
(四) 不作為
四 損害
(一) 人身権侵害による損害
(二) 財産権侵害による損害
(1)財産がなお存在する場合
(2)財産が毀損又は滅失した場合
(3)関連損害の場合
五 因果関係
第三章 刑事賠償
第1節 責任成立の要件
1 賠償義務機関
2 行為
(一) 人身権侵害の行為
(1)違法な刑事勾留
(2)不当な逮捕
(3)冤罪事件
(4)拷問等の暴力行為
(5)違法な武器の使用
(二) 財産権侵害の行為
(1)刑事訴訟過程での財産に対する強制措置
(2)執行された財産刑にかかわるもの
(三) 免責事由
(1)職員の私的行為
(2)被害者の自己責任行為
(3)法の定めに基づいて訴追手続きをしない
三 精神的損害
(一) 背景
(二) 国賠慰謝料解釈
(三) 国賠における精神的損害に対する救済
(1)国賠法第3条又は第17条で規定される場合への該当性
(2)精神的損害結果の発生
(3)精神的損害結果の程度が重大
(四) 慰謝料に関する事例
第2節 司法賠償
1 違法な訴訟妨害排除の強制措置による損害
2 違法な保全措置による損害
3 民事・行政の判決、決定もしくはその他の法律文書の誤った執行による損害
資料
1 中華人民共和国国家賠償法(2010)
2 「最高人民法院の行政賠償案件の審理の若干問題に関する規定」
3 国有土地上の家屋の収用と補償条例
4 最高人民法院・最高人民検察院の刑事賠償の事件の処理についての法律適用の若干問題に関する解釈
5 最高人民法院の民事・行政訴訟における司法賠償事件の審理についての法律の適用に関する若干問題の解釈